「人生100年時代」「働き方改革」という言葉がさかんに使われるようになりました。55歳定年という時代もありましたが、今では70歳定年時代に突入です。
ところで、「高齢化社会」「高齢社会」「超高齢社会」この3つの類似表現の違いってご存知でしょうか?
- 「高齢化社会」…65歳以上の人口が総人口の7%を超え14%まで
- 「高齢社会」…65歳以上の人口が総人口の14%を超え21%まで
- 「超高齢社会」…65歳以上の人口が総人口の21%を超えている
高齢化率が高い国としては、スウェーデン、ドイツ、フランス、アメリカなどが挙げられますが、これらのどの国よりも、日本の高齢化率は高いです。現在の日本は、世界に先駆け「超高齢社会」に突入しています。
ちなみに、2060年までに日本の高齢化率はほぼ40%になると予想されています。
つまり、今までの「働く層」が激減するため、政府は、働く人数を増やし所得税の確保と所得税に頼れない時代の到来に備えて消費税という形の税収アップにシフトしようとしています。
そのような時代に備えて、わたし達は、自己防衛しなければいけません。世界のどの国も経験したことのない新しい働き方と生き方をわたし達は、切り開いて行くことになります。
世界を見渡すと、そのヒントになる新しい働き方が誕生しています。
ギグエコノミーという言葉が世界で広がっています。ギグとは、単発の仕事という意味です。もともとは、ジャズなどでミュージシャン同士が、その場限りの演奏をすることの意味として使われていました。
このギグエコノミーの代表例が米国カリフォルニアでスタートしたウーバー(Uaer)です。タクシー業界を次々と廃業に追い込んでいる配車システムです。
専用のタクシーを運転するのではなく、自家用車とスマホのアプリを利用して個人がタクシーの代わりを務めています。特徴は、安いこと、アプリで運転手を選べること、地図で車が迎えにくる経路をリアルタイムに確認できること、などがあります。
今では応用版として、ウーバーイーツ(UaerEats)などの宅配サービスも始まっています。実は福岡市でもこのサービスは実施されています。
このように、会社に勤める形ではなく、自営業的に単発の仕事を請け負う働き方が急速に拡大しています。
ギグエコノミーに参加する方々は、本業とギグをプラスする方もいれば、複数のギグを組み合わせる方もいます。
このギグエコノミーが拡大する背景をみてみたいと思います。
一言で言うと、「雇用の保証は過去のものとなった」ということです。
テクノロジーの発展に伴いモノやサービスの寿命が短くなりました。それに合わせて企業の寿命も短くなっています。
アメリカを代表するスタンダード&プアーズ(S&P)500社の平均寿命は、1920年代には67年だったが、現在ではわずか15年です。サンタフェ研究所が公開企業2万5000社を対象に最近行った分析によれば、ほとんどの公開企業は10年ほどで衰退していくという。
それにあわせて企業の解雇率は上がり続けており、2015年にはマイクロソフトが7800人、P&Gが6000人、JPモルガンチェースが5000人の解雇を発表している。
日本国内でもメガバンクである、みすほファイナンシャルグループが1万9000人、三菱UFJファイナンシャルグループが9500人、三井住友ファイナンシャルグループが4000人、合計で3万2500人のリストラ策を発表しています。
また、働く側の意識の変化も大きい。日本でも若者を中心に働き方や仕事の選び方に変化が起きています。今日の労働者は柔軟性や自主性、働く目的や意義との一貫性などを重視し、これらの要素がそろっているのであれば、収入がいくらか減ったとしてもかまわないと考える傾向が強いです。そして、組織に雇われない働き方としてフリーランスを選ぶ人も増えています。組織に雇われない就業者は、仕事に満足してやりがいも感じている場合が多いという複数の調査結果も出ています。
また、運良く定年まで働けた方もその後年金のみで生きていくことは困難な時代であり、定年後の働き方として、このギグな働き方が増えてくると予想されます。
つまり人生100年時代の働き方は、1億総個人事業主化社会となるということです。
整理すると、寿命が伸びて人生100年となる、企業の寿命は短くなる、長期雇用が見込めなくなる、雇用ではないギグな働き方が広がる、ほとんどの国民が個人事業主化していく。ということになります。
わたしの周りを見ても、すでにそのような傾向になっています。社員を雇用して運営していた中小企業は、雇用を減らし個人事業主化しています。パートで働いていた主婦が自分でビジネスをスタートし個人事業主化しています。個人事業主の方々は、ひとつの仕事にこだわらず複数のワークをこなしています。ジョブからワークへのシフトです。
わたしの息子達もそうです。長男は、好きな分野として美容ディーラーの職につきました。ユニークな会社で10年務めると独立採算の個人事業主へとシフトすることを推奨しています。次男はIT業界で働いていましたが、今では、フリーランスとして、プログラミングを請け負う仕事をしています。
わたし自身は、個人事業主歴20年を超えました。ギグな働き方として5つの収入源を確保しています。
このような時代の変化に対応して、生き方や働き方への考え方も変えていく必要があるということです。今後に備えて以下の7項目をじっくりと考えてみることをお勧めします。
- 自分にとっての幸せ感の定義を明確にする
- 所有からシェアリングへとシフトする
- 複数の収入源のポートフォリオを作る
- 付き合う人脈の幅を広げる
- 健康にお金と時間を使う
- 余暇をもっと楽しむ
- 老後の資金とキャッシュフローを作る
参考になる著書
最初に読んでみるとしたら、リンダグラットンの「LIFE SHIFT(ライフシフト)」とダイアンマルケイの「ギグ・エコノミー 人生100年時代を幸せに暮らす最強の働き方」をお勧めします。全体像をつかむのに最適です。
マリオンマクガバンの「ギグ・エコノミー襲来 新しい市場・人材・ビジネスモデル」は、全体像をつかんだ後にもう一歩踏み込んだギグエコノミーを知りたい方に最適です。
小暮真久さんの「人生100年時代の新しい働き方」は、自身の体験を元に人生をシフトするエッセンスとして、「見出す力」「聞き出す力」「嗅ぎ取る力」「つかむ力」「味わう力」の5項目でまとめられています。考え方やハウツーに近い内容です。